研究課題
本研究は、バングラデシュを対象にして、将来の気候変動・海面上昇の影響を含めた水災害リスク(洪水・高潮)の予測手法の開発、および適応策を含む減災・防災戦略の検討を行うものである。バングラデシュでは気候変動と海面上昇によって水災害リスクが大きく増大することが懸念されるため、本研究は以下の4点を目的にして実施した。1)過去の洪水・高潮災害と社会的条件を統合する地理情報システム(GIS)データベースの構築、2)氾濫リスクの予測モデルを開発による、2100年までのリスク変化の推定、3)工学手段(堤防、護岸、シェルターなど)とマングローブなどの自然植生・地形を組み合わせた防災手法及びソフト対策(早期警戒システムなど)を組み合わせた適応対策・防災対策の検討、4)政府職員・NGOなどを対象にしたワークショップの開催。現在の政策と将来必要となる対応策のギャップを把握し今後の対応策のガイドラインを提示する。平成17年度は、低平なガンジスデルタであるバングラデシュ西部地域を対象にして高潮モデルおよび河川に沿う1次元流れモデルを擬似的に平面に拡大した氾濫モデルを開発した。それを用いて氾濫域・氾濫危険度を評価する。また、水災害データベースの構築と氾濫影響予測モデルの開発のために現地調査を行い、過去の氾濫・高潮災害と地形、気候条件、人口分布、土地利用等の自然・社会経済データを広範囲に収集した。とくに、高潮氾濫モデルに用いるために河川の横断・縦断形状と適応対策を検討するためのサイクロンシェルターに関するデータを収集した。モデル出力とGISデータを統合して将来の気候変動・海面上昇による氾濫域を推定し、防災手法及び適応対策・防災対策を検討する。これらの成果は、2つの国際会議で発表し、現在論文集に投稿する論文を準備中である。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (3件)
Arabian Coast 2005, Dubai, UAE (in press)
Sustainability Science 1(to be published)
GREENHOUSE 2005, Melbourne, Australia(Poster)