数値的手法では有限サイズの拡張に限界があるため、まず始めに、一般的な三次の非線形光学応答に対する手法として、適切な解析接続を用いたグリーン関数法を開発した。このことにより、ケルディッシュのグリーン関数の行列表示を回避することが出来る。開発した公式は大きなサイズの系に適用することができ空間の次元に依らない。これまでに実例として、また実験との対比可能なものとして1次元銅酸化物モット絶縁体Sr_2CuO_3の第三高調波発生法に対する解析的な定式化を平均場近似の範囲で行った。その結果、一般的に非線形応答に対する新たな項の存在を見いだした。現在、1次元ハバード模型の平均場近似の範囲で観測されたスペクトルに対して、この新たな項による役割を調べている。 グリーン関数を用いた方法のメリットは、それがとても一般的であるということと、ボゾン系とフェルミオン系とを同じ理論の枠内で扱うことが出来ることにある。また、絶縁体相と相互作用する金属相とを同じ枠内で扱うことも可能である。平均場近似の範囲内では、グリーン関数法を用いることで多くのプロセスを計算することが出来るようになる。もし、グリーン関数法を使わなければ、解析的に扱うことはとても困難であろう。この研究の中で、我々の得た強相関電子系のグリーン関数に対する公式を、強相関系の模型に関する非線形光学応答の計算をするために用いた。 平均場近似を越えるためには、摂動計算で得られる自己無撞着な方程式を数値的に解かなければならない。これはFLEX近似として知られている。この方法を強相関電子的に適用し、非線形光学応答を数値的に求めるためのプログラムを現在作っている途中である。
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