本研究では、磁気による相変態を考慮し、汎用的強磁性形状記憶合金(FSMA)構成方程式を定式化する。すなわち、FSMAの材料試験との比較により、応力、温度による相変態に磁気の影響も含まれるように拡張し、引張・圧縮の非対称性、垂直変形とせん断変形の連成などを考慮し、二次元および三次元構造に対する新しいFSMA構成方程式を提案する。この構成方程式を用い、シェル要素とソリッド要素を利用した超弾性大変形有限要素解析プログラムを作成する。続いて、FSMAの磁場-超弾性連成解析システムを構築し、田谷らによるFSMAアクチュエータ素子に関する実験結果と比較し、この解析システムの定量的な有用性を実証する。さらに、完成した解析システムを利用し、様々な機能と形状を持つ形状記憶合金(SMA)またはFSMAアクチュエータシステムの設計のための解析を実施する。 本年度は、SMAの二次元構成方程式を提案し、シェル要素を利用した増分形大変形有限要素解析法を定式化した。本計算手法の有用性を示すため、SMAおよびFSMA板ばねアクチュエータの解析に適用した。特に、FSMA板ばねアクチュエータ解析の場合は磁場・超弾性連成解析を行った。磁場と磁気力の解析にはANSYS/Emagを用い、超弾性挙動解析は本研究グループで開発したSMAプログラムを利用した。 また、ワシントン大学知的材料システム研究センターで実施されたハイブリッド型板ばねアクチュエータの解析を行っている。ハイブリッド型板ばねアクチュエータの解析のため、中立面上の節点を任意の面に変換できるようにシェル要素を利用した有限要素解析法を拡張する必要がある。節点の変換を考慮するため、P-point変換法を利用した有限要素解析法の定式化が進行中である。
|