研究課題
本研究では、洪水流、土石流、溶岩流のような外力によって変形する物体をソフト・ジオオブジェクトと呼び、これの挙動を地理情報システム(GIS)上で取り扱う手法について検討している。GIS流れ要素(FE)とGISソフトヴォクセル(SV)を用いる。GIS-FEは、ソフト・ジオオブジェクトの位置、速度や方向の動的な変化を三次元空間でシミュレートするのに用いられる。GIS-SVは、位置、速度、方向、体積をもつヴォクセル(体元)であり、陰関数で定義される等値曲面で覆われるものであり、ソフト・ジオオブジェクト。どちらも地球物理学的モデルによって制御され、リモートセンシング画像からのピクセル(画素または像元>に基づいて構築されるものでシミュレーションの基本単位として用いられる。GIS FEとSVのシミュレーションは、コンピュータ・グラフィックスの粒子系とメタボール技術に基づくが、次のような特徴を持つ。明確な地理学的意味を有する。空間的・時間的に変化するそれらの速度や方向は地球科学的モデルの科学計算により得られる。また、データ取得の現在の精度を考慮して、リモートセンシング画像の画素に基づいてシミュレートできる。よって、地球科学法則を効果的に反映できるし、広く実務的な場面で用いられる潜在能力をもつ。中国の黄土高原地域における降雨、地表面流、土壌浸食、河川流のシミュレーションを事例研究として行い、このアプローチが、三次元空間でのソフト・ジオオブジェクトを現実的にシミュレートできることを示した。さらに、リアルタイムで水の三次元的動きを二次元的に表現するための投影格子アルゴリズムといった最新のコンピュータ技術を導入した。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (1件)
Proc.of the International Conference on Monitoring, Prediction and Mitigation of Water-Related Disasters (MPMD-2005)
ページ: 53-58