研究課題/領域番号 |
04F04381
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
寺部 茂 兵庫県立大学, 大学院・物質理学研究科, 教授
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研究分担者 |
LE SAUX Thomas A. 兵庫県立大学, 大学院・物質理学研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | キャピラリー電気泳動 / マイクロチップ電気泳動 / 先端分析法キャピラリー電気泳動 / 結合定数 / シクロデキストリン / CE-MS / スルホン化ペプチド / 間接測定法 |
研究概要 |
本年度11月末から研究を始めたばかりであるが、二つの実験を並行して進めている。マイクロチップ電気泳動を行うための準備段階としてキャピラリー電気泳動(CE)を用いて研究を進めている。一つはCEを利用した溶液中での結合定数の測定法に関する研究である。結合定数、とくにタンパク質と薬物との結合定数の測定法は種々報告され、また広く利用されている。CEによる結合定数決定法としては主にアフィニティー電気泳動が利用されている。この方法は、試料消費量が少ない、純粋な試料が必要ではない、短時間で測定可能等の利点がある。一方、結合平衡が迅速に成り立つ必要がある。それに比べて、先端分析CEでは平衡状態にある溶液を電気的に連続的にキャピラリー内に導入して行う方法で、目的試料の結合体と非結合体の濃度を正確に測定できるのが特徴である。マイクロチップ電気泳動では分離時間が短く、使用する溶液量も少ないので先端分析法が適していると考えられる。そのために、CEによる予備実験を行った。UV吸収のない化合物の結合定数は普通のCE装置では検出ができないので間接的測定法を開発した。シクロデキストリン(CD)との結合定数測定をモデルにして実験を行った。CDとナフタリンスルホン酸(NSA)との混合物を用いて先端分析CEにより結合定数を測定した。次に、CDとNSAの混合物にさらに結合定数を測定しようとする化合物(たとえばフェノール)を添加して、CDに対してNSAとフェノールとを競争的に結合させ、NSAの結合定数を測定すると、計算からフェノールの結合定数も算出可能であることを実証した。もう一つの実験はタンパク質のCE-MS分析に関する研究で、ペプチドの電気泳動移動度はその等電点(pI)により大きく変化する特性を利用して、試料溶液のpHを最適化するとスルホン化ペプチドのみを他のペプチドから選択的にキャピラリーに電気的に濃縮導入することができることをCE-MSにより実証中である。
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