我々は最近ナノ粒子一個を原子と見なして、これを操作ユニットとする各種の人工構造物の作成に成功した。更にナノ粒子をランダムにパッキングさせた球状の集積体、また高温下で結晶化させる事による樹枝状の結晶も得られた。これまで報告されてきた多くの金属ナノ粒子の中で金と銀を取り上げ、ナノ粒子の集積過程での集合体の電子状態変化を連続的に追跡し、新しい物性を見いだすことを目的とする。理論との比較のし易い、プラズモン吸収の顕著な金、銀ナノ粒子を対象として粒子結晶を作製し、超格子形成における特徴的な電子状態の発現を目指す。 平成16年度においてはYang博士に我々の開発した水溶性のナノ粒子の作成法を勉強してもらった。特に二カルボン酸チオールであるメルカプトコハク酸の取り扱いに習熟してもらい、それを用いて水溶性CuIナノ粒子の簡単な大量生産に成功した。現在FTIRやっxXRDナノの基礎的なデータをとっている段階である。また銀ナノ粒子の製造も着手しており、電気泳動法によりナノ粒子の魔法数による分別という魅力的なテーマを展開しつつある。 来日して未だ5ヶ月未満のため発表論文はないが、すでに予備的に行った実験がうまくいっているので、レター誌へ投稿するため論文執筆中である。その後本格的な実験に取りかかる予定である。
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