研究概要 |
サイズと形状の揃ったナノ粒子を一個の原子と見なして新しい人工格子を作成することが近年、次世代のナノテクノロジーの鍵となる基礎技術として注目を集めている。我々の研究室でも水溶性のチオール修飾子とした金、銀ナノ粒子を作成し、これを操作ユニットとする各種の集積体の作成に成功した。更にナノ粒子をランダムにパッキングさせた球状の集積体、また高温下で結晶化させる事による樹枝状の結晶も得られた。将来の広範な応用を考えて、この粒子を油溶性に変化させるためTOAB, CTAB等の界面活性剤を更にチオール修飾子の周りに修飾し三重構造のナノ粒子を構成する事を今年度の目標とし、それに成功した。更にこれらから成る粒子結晶を作製し、ナノメートルの周期構造を持つ量子ドット結晶の電子構造を分光学的な手法で研究している。 各種のナノ粒子集積体を作成するとの観点から水溶性CuIナノ粒子の新しい合成法を二種類開発し論文誌に発表した。作成した粒子のサイズを分別するために各種の方法を検討し、ナノ粒子の相間移動の分別効果を利用し、銀ナノ粒子を標準試料として(鋭い表面プラズモンピークが分別の良いマーカーとなる)、系統的に有機溶媒を変化させ電子顕微鏡によるサイズ分布の測定とあわせ、この方法が有用であることを示した。また次に述べるように収量は小さいが電気泳動法による精密な分別法を適用して粒子結晶の作成を行った。 量子結晶を作成するためには粒子のサイズを精密に揃える必要があり、そのため粒子をポリアクリルアミドゲル電気泳動法によりサイズ分別をし、それを出発原料に用いて、気液界面での粒子結晶の連続的な電子顕微鏡測定を行い、その成長メカニズムを検討した。
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