研究概要 |
本研究は、エソ・ミオシン分子の重鎖サブユニット(MYH)の一次構造解析を行い、既報のグチのそれと比較するとともに、魚肉練り製品の主原料であるスケトウダラのMYHの一次構造とも比較する。さらに、3魚種のMYHの一次構造を比較して加熱ゲル形成に関与すると想定される一次構造領域につき、遺伝子組み換え体の作製などの遺伝子工学的およびタンパク質工学的手法を用いてその機能を明らかにすることを目的とするものである。 昨年度のエソ類の普通筋を対象とした研究成果からマエソから4種類のMYHをコードするcDNAクローンが得られ、それらの塩基同一率は91〜96%、演繹アミノ酸同一率は96〜98%であった。一方、ワニエソからは5種類のcDNAが得られ、それらの塩基同一率は91〜99%、演繹アミノ酸同一率は97〜100%であった。本年度はマエソにつき、普通筋から常法により全RNAを調製して市販のキットと用いてfirst strand DNAを合成した。さらにこれを鋳型にMYH遺伝子(MYH)をコードするDNA断片をPCRで増幅し、主成分MYH cDNA全長の塩基配列および演繹アミノ酸配列を決定した。その結果、マエソMYHcDNAは全長5,973bpからなり、1.928アミノコードすることが明らかになった。このアミノ酸配列はスケトウダラおよびシログチMYHとそれぞれ90%および92%の同一率を示した。さらに、マエソMYHのATP結合部位のloop1はスケトウダラおよびシログチの相同領域のそれぞれ38%および60%、アクチン結合部位のloop2ではそれぞれ88%および91%、さらにαらせん領域のロッドではそれぞれ91%および93%であった。ワニエソMYH cDNAは約5500bpの領域の塩基配列を決定できたが、約500bpは未決定のまま残された。
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