世界的に重要な食用マメであるヒヨコマメとその近縁野生種について分子系統樹の構築を完成させ、形態的および生理・生態的形質の進化を解明し、これまでの分類体系を再検討するため、平成17年10月より研究を開始し、標本調査、塩基配列解板カナワニン成分の分析を試みた。まず、トルコ共和国のアンカラ大学植物標本館ANK、イゲ大学イズミル植物標本館IZMIR、およびイラン共和国テヘラン国立植物園中央植物標本館TEHにおいて15日間にわたって標本調査と分析素材の収集を行った。イズミル・ジーンバンクでは遺伝資源の維持状態を視察した。つぎに、葉緑体DNAとしてtrnL-F、matK、nad1およびtrnKおよび核DNAとしてnrETSのほかadhについて新たなサンプルを加えてシーケンス分析を進め、MacCladeを用いて予備的に分子系統解析した。葉緑体DNAについては順調にシーケンス・データが蓄積されており、核DNAではクローニングしながらプライマーを設計している。入手できた種子についてcanavanineの抽出法を検討し、種子表面構造についてはSEM観察を進めている。これまで得られた形態的特徴については既存の分子系統樹を使って形質状態を調べている。また、栽培植物の近縁野生種における遺伝資源保全の意義を考察するための関連文献を収集している。これまでの成果をIBCで、口頭発表するのため、Is there congruency between traditional and molecular classification・・・の要旨を作成し送付した。Cicer phylogeny based on matK and ITS….の論文を作成して投稿の準備をしている。
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