研究概要 |
ワモンゴキブリ(Periplaneta americana)から、メラトニン受容体(MT,350アミノ酸、39.2kD)をコードするcDNA(1440bp)をクローニングした。メラトニン受容体のクローニングは、昆虫ではじめてのものである。Northern分析で、脳と卵巣に転写産物が確認でき、また、哺乳類メラトニン受容体1の抗体をもちいて、ゴキブリの脳-食道下神経節を免疫組織化学的に染めたところ、概日時計の重要な蛋白質であるPERIODの発現する細胞の多くに発現が見られた。これらの細胞は、網膜に近いものを除くと、インドールアミン代謝系に関するほかのマーカーである、serotonin, arylalkylamine N-acetyltransferase, hydroxyindol O-methyltrasferase, melatoninの抗体にも反応するものである。したがって、ゴキブリメラトニン受容体である可能性が高い。つぎに、Southern分析をおこなった結果、この遺伝子は、1コピーで存在すること、さらには、構造解析によって、この受容体は蛋白質結合型の7回膜貫通型のものであることが分かった。したがって、現在、発現動態などを解析中である。また、ここまでのところを論文に準備中である。N-acetyl-transferase(NAT)が時計にコントロールされている可能性が示されたが、これを明確にするため、ショウジョウバエの様々な突然変異体を用い、NATの活性の変動に対する影響を調べている。
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