凍結・融解に伴う農地土壌中の水分・塩分移動を検討するために、内蒙古河套灌区、沙壕渠試験場内の耕地と塩害地に、それぞれ一個所ずつ現地試験サイトを設定した。初期水分塩分プロファイルを測定するとともに、冬季期間中の地温、土壌含水量、液状水量を測定するための、地温センサー、TDRパイプをそれぞれ、耕地と塩害地に設置した。地温および土壌誘電率から換算した液状水分率の連続記録結果を用いて、冬季期間中における水分移動フラックスを求めている。室内実験で水平浸潤過程を支配するパラメータである土壌の水分拡散係数求めるため、水平浸潤実験を行った。 一方で、圃場レベルでの水循環の一環としての横浸透により、灌漑耕地に灌漑した水は、塩害地に移動して塩害地でも消費されていることが、耕地と塩害地における定点水分フラックスの測定から明らかになった。そこで、耕地から隣接塩害地への横浸透の状況を現地で確認するとともに、水平浸潤モデルを適用して、横浸透量消費量を推定した。耕地灌漑直後、隣接塩害地での地下水位の応答は速やかで、時間の経過とともに地下水位ピークが塩害地に向かって伝播した。耕地灌漑直後の浸透速度は速く、浸透時間とともに徐々に緩やかになった。灌漑2日間の不飽和部を通じた水平浸潤による総積算横浸透量を試算したところ、1.34m^3で、クコ耕地総灌漑水量の1.87%となったが、飽和帯中地下水の横浸透が重要であると考えられる。 2005年1月5日、東京の第10回黄河研究会・JSTワークショップで「灌漑耕地から隣接塩害地への横浸透量の推定」に関する研究を発表した。2005年3月3日、CREST黄河&RR2002黄河合同Workshop「黄河流域の農地・農業用排水管理」に参加した。
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