ソルガムはアフリカなどの乾燥地の主要な作物である。ソルガムをケイ酸処理すると乾燥・高塩耐性が高まることが明らかになっている。ケイ酸処理で発現する遺伝子を単離し、乾燥・高塩耐性との関係を明らかにすることを目指した。最終的にはケイ酸で誘導発現される遺伝子の中から乾燥・高塩耐性に関わる遺伝子を単離し、ソルガムに遺伝子導入し、乾燥・高塩耐性を付与することである。 今回の実験ではソルガムを種々の濃度の組み合わせでケイ酸と食塩処理し、生長と可視障害を指標にして、耐塩性を顕著に示すケイ酸処理濃度を決めた。最適濃度ケイ酸処理ソルガムと無処理ソルガムから根と葉を別個にサンプリングし、mRNAを単離し、cDNA合成後、cDNAサブトラクション法によるケイ酸誘導性遺伝子の単離を試みた。 葉からのmRNA単離は問題なく成功したが、根からは収量が低く、多量のサンプルが必要であることが分かった。葉から単離したmRNAを用いてcDNAを合成し、サブトラクションの段階まで実験が進んでいるが、現在、数十種のケイ酸誘導性遺伝子と思われる遺伝子を検出しているが、今後、ノーザンブロッティング、バイオインフォマテフィックスによる相同性検索、全DNA塩基配列等の実験で、ケイ酸誘導性、耐塩性の新規遺伝子を発見する予定である。 今年度は上記研究以外に耐熱性を異にする3種の小麦品種の抗酸化活性についても検討した。耐熱性の高い品種は感受性品種と比べて、スーパーオキシドジスムターゼ、アスコルビン酸ペルオキシダーゼ、グルタチオン還元酵素、カタラーゼ活性が高いことが分かった。また、耐熱性小麦は感受性小麦とは異なるスーパーオキシドジスムターゼアイソザイムを持つことをSDS-PAGEで明らかにした。
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