研究概要 |
(1)乾燥、高塩、高温耐性の異なる小麦の抗酸化酵素誘導 高温耐性の異なる3品種は抗酸化酵素活性が異なっていた。高温ストレス品種Fangは高温ストレス下で他の2品種に比べてSOD(スーパーオキシドジスムターゼ),APX(アスコルビン酸ペルオキシダーゼ),GR(グルタチオン還元酵素),CAS(カタラーゼ)活性が高かった。抗酸化酵素活性は温度ストレスのパターンに応じて異なった。高温処理区では対照区に比べて抗酸化酵素の誘導が観察された。茎葉と根を共に高温処理したときにはSODとAPXの誘導が顕著で、根のみ高温処理したときにも程度は低いながらも誘導された。高温処理で、GRとCASの誘導も観察された。高温耐性品種Fangの気孔抵抗は全ての温度処理化でまた全実験期間で最も高かった。 乾燥と塩ストレス耐性の異なる8種の小麦の塩と乾燥ストレスに対する反応は異なり、数品種は両ストレスに高い耐性を示し、他の品種は非常に感受性が高かった。2つのグループ間にはストレスに対する応答の速さに差があった。数種の抗酸化酵素の活性はストレスにより大きな影響を受け、活性の増大と抑制が混在した。 (2)ソルガム(Sorghum bicolor)はアフリカの乾燥地の重要な作物であり、塩を含む土壌中で耐性があり、生育が良い。ここではSubtractive hybridization法が用いて、新規の誘導性遺伝子の単離を試みた。この方法は塩処理、無処理のソルガムからmRNAを単離し、cDNAを調製し、塩処理で誘導される遺伝子を検出する方法である。Clonetech PCR-selectTM cDNA subtraction(BD Bioscienceによる改良)法に従って実験した。cDNA subtractedライブラリーの構築は現在進行中である。塩ストレスと無処理のソルガムからmRNAを単離し、cDNA合成、制限酵素処理、アダプターの付加、ハイブリダイゼーション、産物のPCR増幅をした。
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