研究課題/領域番号 |
04F04486
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
櫻井 英博 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授
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研究分担者 |
ZHANG Xiaohui 早稲田大学, 理工学術院, 外国人特別研究員
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キーワード | ラン色細菌 / 太陽光 / 水素 / 代替エネルギー / 光合成 / シアノバクテリア / ニトロゲナーゼ / ヒドロゲナーゼ |
研究概要 |
本研究は、ラン色細菌(別名:シアノバクテリア)の光合成系を利用して太陽光を水素のエネルギーに変換し、化石燃料代替エネルギーの大規模生産を実現することを目標とする研究戦略の一環をなすものである。 1)ヒドロゲナーゼ遺伝子破壊株の水素生産性評価 ラン色細菌の水素生産に関わる酵素は、ヒドロゲナーゼとニトロゲナーゼであり、本研究では後者を利用した水素生産系の開発を目指している。ヒドロゲナーゼには、取込型(Hup)と双方向性(Hox)の2種があり、前者は調べられた全ての株に存在し、さらに約半数が後者をあわせ持っ。ヒドロゲナーゼは、ニトロゲナーゼによって生産された水素の再吸収にはたらき、生産の妨害になると考えられる。Nostoc sp. PCC 7422株より作成したHup構造遺伝子破壊株は、水素生産性が大幅に向上し、水素を濃度約30%に蓄積でき、良好な実験条件では太陽光を約1.7%の効率で水素エネルギーに変換できた。 2)ラン色細菌におけるV型ニトロゲナーゼの分布 ニトロゲナーゼの触媒タンパク質は、ジニトロゲナーゼで、反応の必然的副産物として水素を生産するが、通常は活性中心に鉄、モリブデンからなる金属クラスターを結合している(Mo型)。一部の生物では、Mo型ニトロゲナーゼに加えてバナジウムを結合したクラスターを持つものがあり(V型)、この酵素は一般に、窒素固定に向けられる電子の割合が低い、換言すれば水素生産に向けられる電子の割合が高いといわれており、水素生産に適した酵素となる可能性がある。そこで、内外のラン色細菌株保存センターから取得した14種類の株について、V型ニトロゲナーゼの分布をNostoc punctiformeのvnf遺伝子の部分配列をプローブとして調べたところ、約半数のものがMo型に加えてV型ニトロゲナーゼを持つことが明らかとなった。
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