研究課題/領域番号 |
04F04493
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
菊池 章 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授
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研究分担者 |
LEE Ping-Chin 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | GSK-3 / Aurora A Kinase / AIP / 細胞周期 / 紡錘体極 / 染色体 |
研究概要 |
GSK-3はグリコーゲン合成酵素をリン酸化する酵素として1980年に蛋白質として精製され、1990年にはその遺伝子配列が決定された。GSK-3は糖質代謝を制御するリン酸化酵素として同定されたが、現在は多彩な細胞機能を制御することが明らかになっている。また、酵母からヒトに至るまで、進化的に保存されていることから、GSK-3は生物学的に非常に重要な酵素であると考えられている。一方、アルツハイマー病やある種の糖尿病においてGSK-3の活性が亢進していることが知られているが、病態との関連については不明な点が多い。そこで、GSK-3の新たな機能を解析するために、GSK-3結合蛋白質のスクリーニングを行い、AIPを単離した。AIPはAurora A kinaseに結合してAurora A kinaseの分解を促進する蛋白質として同定されていた。GSK-3はAIPのC末端側と結合してリン酸化した。また、AIPはGSK-3とAurora A kinaseと共に三量体を形成した。しかし、GSK-3はAIPの複合体形成にはGSK-3のリン酸化活性は必要でなかった。AIPは細胞周期の間期には細胞質にび漫性に存在していたが、分裂前期になると紡錘体極に濃縮して、中期を過ぎると消失した。また、AIPは分裂中期までの紡錘体糸に局在していた。さらに、AIPをRNAi法によりノックダウンすると、紡錘体極間の距離が短縮して、細胞分裂期の時間が遅延した。これらの結果から、AIPは紡錘体極と紡錘体糸の形成を制御して、染色体の配分に関与することが示唆された。来年度は、GSK-3によるAIPの機能の制御を明らかにする予定である。
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