研究概要 |
昨年度は、希土類触媒を用いてカルバゾールユニットを有する芳香族末端アルキン(CPA)の二量化を行い、対応する共役エンイン化合物(E)-CPEYおよび(Z)-CPEYをそれぞれ選択的に合成することに成功した。これらの化合物は溶液および固体状態いずれにおいても強く青色発光した(発光量子収率:(E)-CPEY,75%;(Z)-CPEY,70%)。興味深いことに、ITO/NPB(30nm)/(D-CPEY(40nm)/LiF/AlからなるEL素子を作成し電圧をかけたところ、予想した青色ではなく、強く白色発光し最高輝度が1395 cd/m^2に達した。これは単一発光材料からなる白色発光有機EL素子としては最も高い値を示し、非常にユニークな材料の合成に成功した。本年度はこれらのエンイン化合物の置換基が発光特性に対してどのような影響を与えるかについて検討した。エンイン化合物(E)-CPEYには、2つのt-ブチル基がカルバゾールユニットに置換していたが、無置換のカルバゾールユニットを有する(E)-CPEY'を合成した。この化合物の溶液中の光吸収および発光スペクトルは(E)-CPEYのものと類似しており、同様に青色発光した。興味深いことに薄膜を作成し、固体状態の発光特性について調べたところ、長波長側により大きなショルダーピークが観測された。(E)-CPEY'では嵩高いt-ブチル基がないために、より強く分子間の相互作用が働いたことにより長波長側のピークが観測されたものと考えている。
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