研究課題/領域番号 |
04F04566
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
三好 利一 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノテクノロジー研究部門, 研究員
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研究分担者 |
HU Wei 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノテクノロジー研究部門, 外国人特別研究員
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キーワード | ポリオレフィン / 立体規則性 / 個体NMR / 結晶ダイナミクス / 結晶構造 / 力学特性 / 延伸 |
研究概要 |
昨年度に引き続きisotactic-poly(3-methyl-1-butene)(iP3M1B)の合成条件の最適化を行った。具体的にはメタロセン触媒の一つであるrac-ethylenebis(1-indenyl)ZrCl_2と助触媒にmethylaluminoxane(MAO)を用いて、合成時間、モノマー濃度、合成温度をパラメーターとして実験を行い、非常に高い融点(T_m=576K)を示すisotactic-poly(3-methyl-1-butene)の合成に高収率(98%)で成功した。この高分子は不溶性であり、これまでに微細構造は報告されていない。583K以上の高温においてiP3M1Bの溶融状態における固体MAS高分解能NMRスペクトルの測定に成功した。そして立体規則性や不均一構造の定量評価に成功し、微細構造と融点との関係を明らかにした。更に固体状態の結晶構造を固体NMRの二次元INADEQUATE技術を用いて検討した。その結果、それぞれの炭素シグナルの環境は磁気的環境の異なる8種類からなることを示した。得られた多重分裂シグナルは結晶の分子鎖のパッキングにおいて分子鎖の配列に上下方向の乱れによると結論した。更に、CODEX法により同位体ラベルを施すことなく、結晶領域の分子鎖が大きな振幅運動の分子鎖ダイナミクスを示すことを明らかにした。このミクロダイナミクスは高分子の力学緩和特性に密接に関連しており、力学特性を分子レベルで説明することに成功した。更に圧延することにより10倍程度の延伸に成功した。融点近傍で長時間アニーリングすることにより融点が更に10K上昇することを見出した。今後、融点上昇と構造との因果関係を散乱実験や固体NMR計測により明らかにする。
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