細胞内の多種類のオルガネラはこれらのモーター分子によって各々決められた場所へ輸送されていると考えられる。この機構を解明することは細胞生物学における非常に重要な課題である。私はそのための有力な方法のひとつとして、ジーンターゲテイング法を用いて変異マウスを作製し、得られたマウスを細胞生物的手法によって解析している。 神経系に特異に発現するユニークなモノマー型順方向性モーター分子KIF1A遺伝子欠損マウスは、生後24時間以内に全て死亡したことが、これまでの我々の研究室の従来型のノックアウトの結果より明らかになっている。これらの遺伝子の機能をさらに発生・分化が進んだ段階の組織・細胞において解析するために、KIF1Aハイポモルフマウスを作成し、その解析することを通じて、KIF1Aの生体内での機能についての知見を得ようと試している。KIF1AのPH domainはトランスファーベクターに挿入し、組み替え得たウイルスを増幅して培養細胞に感染させ、KIF1Aの抗原を大量に産生させました。さらに抗体の精製を完成し、精製した抗体を用い、免疫沈降実験を行った。沈降した物質中に、Trkという神経栄養因子神経細胞での物質輸送のカーゴ分子の一つと考えられる。培養細胞では、TrkとKIF1Aのcolocalizationも発現した。TrkがDRGの細胞内に存在している、KIF1Aハイポモルフマウスは、功能障害のため、DRGの細胞が死になった。さらに、死にそうな細胞の中で、Trk抗体で染まるものがたまっていることも発現した。電子顕微鏡でたまっているものをはっきり観察した。Trk signalの下流であるリン酸化Erkとリン酸化Aktはsignalが弱くなった。今はモーター分子とカーゴ分子に蛍光蛋白を融合させ神経細胞にウィルスを用いて遺伝子導入し、モーター分子とcargoの動態を解析している。
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