中性B中間子が中性ロー中間子と中性パイ中間子に崩壊する確率である崩壊分岐比の測定に世界で始めて成功した。この崩壊過程はCPの破れを示す3つのパラメターのひとつであるファイ2と呼ばれる物理量を決めるのに必要不可欠だが、中性ロー中間子が電荷プラスのパイ中間子と中性パイ中間子に崩壊するため、終状態は二つの中性パイ中間子を含む3つのパイ中間子から成るため、解析にはダリッツ法と呼ばれる特殊で高度な方法が必要である。 結果はPhysical Review Lettersに投稿中であるが、既にファイ2解析で貴重な入力情報として世界中で使われ、最近のファイ2測定の大きな進展に寄与している。今後この手法を電荷プラスのB中間子崩壊過程にも適用してファイ2測定の精度をさらによくするための足がかりを確立したことも大きい。 この解析を通じて習得されたダリッツ法は、ファイ2測定に必要な他のB中間子崩壊過程、特に二つのロー中間子への崩壊、の解析に応用されこれらの分野の進展にも大きく寄与している。 さらにここではパイ中間子とK中間子を精度良く識別することが重要であり、D中間子がKとパイ中間子に崩壊するデータを用いて、識別能を実験的に測定し、データベース化した。これはベル実験の他の多くのデータ解析に使われている。
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