小林益川理論によると、中性B中間子がロー中間子とパイ中間子に崩壊する頻度はB中間子と反B中間子とでは微妙に違うはずで、その測定から理論パラメターφ2が決められるはずである。本研究では終状態のロー中間子とパイ中間子が両方とも中性である崩壊過程を始めて見つけ、その崩壊分岐比を測定した。この結果が多くの理論的予想より有意に大きな値になったので話題を呼んだが、我々はさらに精度を上げた測定を行い、最初の結果が正しいことを確認した。この結果は理論の修正につながった。その後、終状態のロー中間子とパイ中間子が電荷を持ったケースについての測定もおこなわれ、両方の分岐比からφ2の決定が試みられ、現在ではφ2が10パーセントの精度で求まるまでに到っている。この過程で本研究の果たした先駆的な役割はきわめて大きい。
|