研究課題
グローバル経済の拡充下における日本の住宅システムの再編実態に関して、とくに大都市の持家セクターに着目し、そのファイナンス、価格変動、取得階層などを統計分析を通じて明らかにした。その結果、(1)資本市場の規制緩和とグローバル化によって住宅モーゲージ市場とマクロな資本市場の関係が急速に深まったこと、(2)住宅価格のボラティリティが増幅されたこと、(3)新築住宅に比べて中古住宅、一戸建住宅に比べてマンションの市場競争力が脆弱であること、(4)全体として、資本市場のグローバル化、及び住宅市場への公的介入の縮小によって、持家市場の安定性を弱めていること、等が明らかとなった。次に、こうした分析結果を国際比較の枠組みのなかで評価し、(1)日本の不動産における住宅・建物と土地の分離という特徴が土地への価値に対する信頼を相対的に高め、逆に、住宅・建物の価値評価の弱さをもたらし、その結果として、マンション、中古住宅の市場競争力が低下し、日本に固有の市場動向が生じていること、(2)日本の住宅システムにおける大量建設指向というきわだった特性が、空家率が着実に上昇するという状況のもとで、中古住宅の市場競争力の弱さに拍車をかけていること、(3)したがって、持家市場の変動の拡大は、グローバル経済一般を変数とするだけではなく、日本に住宅システムに固有の文脈を変数とすることによって、より正確に説明できること、(4)これを一般化していえば、グローバル・トレンドとローカルな文脈の組み合わせを通じて、各国の住宅市場の変動メカニズムを分析する理論フレームの構築を展望できること、等の結果を得た。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (3件)
Understanding Home-Ownership in Eastern and Western Terms
ページ: 71-77
Housing Theory and Society vol.21, no.2
ページ: 49-64
RC21 Conference, Paths of Urban Change : Social and Spatial Perspectives
ページ: 155-161