研究課題
グローバル経済の拡充下における日本の住宅システムの再編実態に関して、とくに持家セクターに着目し、その需給関係、ファイナンス、価格変動などを統計分析を通じて明らかにした。その結果、(1)ポストバブルの持家市場は、従来のキャピタルゲイン・ベースのシステムとは異なり、使用価格ベースのシステムを形成し始めていること、(2)資本市場の規制緩和とグローバル化によってモーゲージ市場とマクロな資本市場の関係が深まったこと、(3)住宅価格のボラティリティが増幅され、その地域間の差異が顕著になったこと、(4)全体として、資本市場のグローバル化、及び住宅市場への公的介入の縮小によって、従来とは異なる性質の持家市場が出現していること、等が明らかとなった。次に、こうした分析結果を国際比較の枠組みのなかで評価し、(1)日本の住宅システムは1990年代半ばまでは国家主導の住宅建設計画のもとで運営されていたのに対し、資本市場のグローバル化の影響を受けて、よりリベラルな住宅・モーゲージ市場の形成に向かっていること、(2)日本における大量建設指向というきわだった特性が、空家率が着実に上昇するという状況のもとで、住宅市場のボラティリティとその地域間の差異を拡大していること、(3)したがって、持家市場の変動のメカニズムは、グローバル経済一般を変数とするだけでなく、日本に住宅システムに固有の文脈を変数とすることによって、より正確に理解・説明できること、(4)これを一般化していえば、グローバル・トレンドとローカルな文脈の組み合わせを通じて、各国の住宅市場の変動メカニズムを分析する理論フレームの構築を展望できること、等の結果を得た。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (4件) 図書 (1件)
School of Government, sun Yat-Sen University et al. (eds) Changing Governance and Public Policy Paradigms: Asisan Perspectives
ページ: 167-186
Asia-Pacific Network for Housing Research (ed.) Housing and Globalization
ページ: 39-51
都市問題研究 57・4
ページ: 71-84
ページ: 83-95