本研究は、レーザー波面制御と顕微鏡光学を高度に駆使し、光エネルギーの損失なく、アトリットルにせまる極微体積内(〜10^<-18>l=(100nm)^3、ナノスペース)の光子場を自在に制御することを目指す。この光子場が生み出す光勾配力・光散乱力を用いると、任意のナノスペースに多種多様な物質、例えば、誘電体微粒子や金属ナノ微粒子を光だけで輸送、定着し構造化できる。 本研究が生み出すナノスペース光子場デザインは、フォトニクス結晶をはじめとするナノ構造体の創製、超解像顕微分光、マイクロ化学など、多角的な展開が期待でき、生命工学、ナノ物質科学、情報通信に必ずやブレークスルーをもたらす。 光学的な作業領域は光の波長によって決まる回折限界で支配されている。したがって、光学顕微鏡、光学的微細加工の空間分解能はすべてサブミクロンに限界があった。この限界を克服する手段としてホログラムなどの空間位相変調による光波面合成が考えられているが、光エネルギーの利用効率は数パーセントにすぎない。また、リアルタイムな波面合成は不可能である。 本年度は、フォトリフラクティブ二光波混合による光増幅と高分解能液晶空間変調器による波面合成を駆使することで、波面合成に際して起こる0次回折光のエネルギーを1次回折光のエネルギーに変換するシステムを構築した。 このシステムを用いて、ガウスビームから軌道角運動量を示すラゲールガウスビームを合成した。ラゲールガウスへのエネルギー変換を40%を超える高い効率で実現することができた。
|