研究概要 |
従来,言語学習は対象とする言語の性質に合わせた学習方式がとられてきた.ところが,言語学習の難しさは,学習者の母国語と対象言語との相違にあり,学習支援方式は両者の差異に依存するものでなければならない.日本人が英語を学習する場合には,日本語,ひいては日本の文化に深く染まっている学習者が英語,そして英語文化という未知の世界との相違に起因する困難さを克服することを支援する必要がある. 本研究は,本特別研究員の博士論文の成果である,日英文化差の要因分析の成果を利用して,日本人が英語を学習する際に遭遇する困難さを日英の文化差の観点から分析して,オントロジー工学の手法を用いて体系的に記述し,それらの困難さを説明するモデルを構築する.そして,モデルに基づいて困難さを克服する英語学習指導方略を構成し,それを組み込んだ,日本人用英語学習支援システムのプロトタイプを開発することを目的としている. 今年度は4ヶ月という短い期間しかないので,次年度のための準備を行った. 1.従来研究の成果である,日英文化差の要因分析の成果を整理した. 2.日本人が持つ英語学習における困難さを調査した. 3.それらの要因を言語学習に特に関係の深い部分を再検討して,言語学習における文化差の影響を調べた. 4.オントロジー工学を検討して,文化や言語に関するオントロジー構築の先例を調査し,調査結果を分析して,オントロジー工学を適用する際の注意事項を纏めた.
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