siRNAは19塩基対の二本鎖RNAであり、遺伝子を配列特異的にノックダウンするツールとして利用されている。現在のバイオ産業界におけるsiRNAのマーケティングでは、化学合成によって作成されたRNAの販売が、大多数を占めている。しかし、価格として1セットのsiRNAで5万円程度と高価であり、試しで利用される研究者は少ないものと思われる。本研究では、siRNAに必用なRNAの最小構造を詳細に調べる事により、siRNA合成のコストダウンを図るとともに、二本鎖RNAによる遺伝子発現制御の作用機序の解析を試みる。初期段階の研究として、異なる長さの合成siRNAを用い、遺伝子抑制効果の比較検討を行った。その際、siRNAの作用で問題となっているOff-Target効果を考慮するため、siRNAのセンス鎖およびアンチセンス鎖それぞれに対応する標的遺伝子を人工的に作成し、遺伝子抑制効果の評価と、その選択制について解析した。その結果、センス鎖の3'末端が平滑で、アンチセンス鎖の3'末端が突出の場合に、特異的な遺伝子発現の抑制が見られ、他のグループからの報告例と同様の見解が得られた。siRNA発現ベクターにおいても、このようなsiRNAを作成する事ができれば、長期間のsiRNA効果が得られる事が期待される。本研究を今後のsiRNA発現ライブラリー設計の基盤として活用していく。
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