研究概要 |
本研究は、アフリカにおける具体的な事例研究をもとにして、自然資源の保全と利用にかかわる利害関係者間の交渉の事例を多角的な視点から分析し、地域住民の積極的な意見や行為を保全政策に反映させるための合意形成のあり方を探求することを目指しておこなった。 本年度はまず、エチオピアの西南部に位置するマゴ国立公園に隣接する2つの村で過去におこなったフィールドワークの研究成果を、野生動物保護を推進する側の国立公園当局の関係者に焦点をあてた政治的側面、地域住民の自然資源利用などの生態的側面、村落社会の成り立ちなどの歴史的側面の3つに焦点をあてて整理分析した。その分析結果の一部を平成17年5月に、日本アフリカ学会第42回大会において「野生動物保護に対する地域住民の意識変容-エチオピア西南部における「鳥獣害」をめぐって」のタイトルで発表した。この発表ではとくに、国立公園の設定や村落社会への中央政府の介入といった外部影響によって、野生動物による農作物被害に関する住民意識が変容していることを実証的に示した。 また、2003年10月20-30日にエチオピアの首都アジスアベバにおいて国際ワークショップ「環境と生業をめぐる地域住民のとりくみ」で報告した内容を再検討し、2005年にAfrican Study Monographs, Supplementary Issuesに"DIFFERING LOCAL ATTITUDES TOWARD CONSERVATION POLICY : A CASE STUDY OF MAGO NATIONAL PARK, ETHIOPIA"のタイトルで投稿し、掲載が決定された。
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