研究課題
平成17年度前半は、平成16年度に引き続き、インフォーマル経済従事者を対象に、ミクロな実態調査を実施した。調査の基本的課題は主に3つである。まず第1に、2004年4月に火災で全焼してしまった調査コミュニティにおける火災後の「居住」と「職業」の変化と人々の対応を調査することにより、都市下層の都市生活におけるコストとリスクに焦点をあてた。またその上で、各個人・世帯の生存戦略の相違と、コミュニティ内格差の実態を明らかにすることを試みた。5〜6月にかけては、2004年度の火災以前に質問表調査を実施した66世帯の内、追跡可能な55世帯を訪問・調査(調査手法:インタビュー・質問表および昨年度から継続している参与観察)した。8・9月には、コミュニティの住民やリーダーとともに、質問表を全戸配布した。自主記入方式であったが、全700世帯のうち、約400世帯分を回収した。第2には、都市の産業・労働市場の構造変化と、ミクロな人々の職業・生活の変化の関連をより明確にするために、バンコクの職業機会とコミュニティの住民の職業変化に関するライフコース分析の補足調査およびバンコクの空間配置に関する調査(統計・企業登録などの検討)を実施した。第3には、コミュニティ内外の関係を明らかにするために、コミュニティの内職労働者が生産する製品(アジア各国へ輸出)の生産関係の調査を実施した。元請の工場や仲介人、卸元、税関などに対するインタビューなどが中心である。17年度後半は、これらの調査結果のデータを整理・分析するとともに、2つの国際会議で発表している。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (2件)
Gender, Technology and Development Journal 9(3)
ページ: 423-450
東アジア都市論の構想-東アジアの都市間競争とシビル・ソサエティ構想(田坂敏雄編)(御茶の水書房)