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2004 年度 実績報告書

今日的農業状況下における農家の地元主体特質の分析と新たな農家主体論の創出

研究課題

研究課題/領域番号 04J00523
研究機関京都大学

研究代表者

越智 正樹  京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワードエコツーリズム / 地域住民 / 呼びかけ / 分節化 / 接合 / 主体性
研究概要

沖縄県竹富町の西表島は,日本のエコツーリズムの先進地とされている。日本におけるエコツーリズム導入は,1990年代初頭からの環境庁による推進調査が契機となったものであるが,その諸調査は西表島に重点を置いて行われた。さらに1996年には,日本初のエコツーリズム協会が島内に発足した。従来の研究は往々にして,島内の活動者に主眼を置き,西表島エコツーリズムを「島民主導」の開発として評価してきた。
これに対し本研究は,エコツーリズム開発が非事業者住民に与える影響を検討するために,エコツーリズム理念が形成する「地域住民」像に注目した。用いた資料は,西表島へのエコツーリズム導入期に行われた環境庁調査の報告書,および現地での聞き取り資料である。分析の結果,エコツーリズム理念において「地域住民」の生活は,客観的評価により表象可能な部分(自然と共存してきた地元の人の知恵)と,本来的に客観的評価不可能な部分(ありのままの良さ)との分節化/節合により構築されていることが明らかになった。また,住民はエコツーリズムとの経済的関係の有無にかかわらず,この「地域住民」たるように一方的な期待を受けることを,理念は促すことがわかった。
エコツーリズム理念はこのように,環境保全と観光開発に適合的な「地域住民」像を構築し,それへの呼びかけを全島民に対し行うものであった。西表島では,業者のエコツーリズム離れ(文化・生活の扱いの放棄)や,非事業者住民における「エコツーリズム・アレルギー」(エコツーリズムへの反発)が少なからず生じている。これらは,理念が住民に課す困難な節合に対する,かれらの反応であると理解できる。こうした反応もまた,外発的枠組みに取り込まれるのみではない,住民の「主体性」であると言えよう。エコツーリズムのみならず,環境保全的施策・活動を検証するためには,こうした住民の反応にこそ注目せねばならない。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 地域開発差止裁判における原告適確判断への一考察 -地域資源管理に対する発言権の法廷的線引きについて-2005

    • 著者名/発表者名
      越智 正樹
    • 雑誌名

      『琵琶湖・淀川水系における資源利用と環境保全に関する総合的研究』近畿大学農学部農学研究科国際資源管理学専攻 3(発表予定)

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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