性の空間分布・性比・クローンの空間分布などの集団構造および局所混み合い効果の性差を明らかにするのが本研究の目的である。材料として雌雄異株植物ヤマノイモを用いた。圃場実験は森林総研関西支所で行なった。 2005年度にDNA分析をするために研究計画ではAFLPマーカーを用いることにしていたが、もっと遺伝情報の得られるマイクロサレテライトマーカーを用いて集団構造を明らかにすることにした。従って、森林総研つくばにおいて研修を行い、ヤマノイモの葉の核DNAを用いてマイクロサテライトマーカーを10個開発した。39個体の遺伝子型を特定したところ、1ローカスあたり3-9個の対立遺伝子がみつかった。ヘテロ接合度の期待値は0.461-0.851であった。この結果をMolecular Ecology Notesに投稿し、アクセプトされた。2004年夏に鳥取大学附属蒜山演習林に設定した1.2haプロットにおいて主軸シュート長1m以上のヤマノイモの葉を採取し、性および個体の位置を記録した。開発したマイクロサテライトマーカーを用いて、これらの葉を今後分析する。 同一個体から採取した雌雄各6遺伝子型のムカゴを3段階の個体数密度(コントロール・2倍・12倍)で圃場に植え、花・果実・ムカゴ・シュートを採取し、イモを掘りとった。これらを乾燥し重量を測定し、有性繁殖量・クローン繁殖量・シュート重・イモ量を異なる密度間および雌雄で比較している。また開花の有無、生存死亡を記録し、開花率や死亡率を推定し、異なる密土間および雌雄で比較している。この結果は現在まとめているところである。
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