運動による骨格筋5'AMP-activated protein kinase(AMPK)活性化はエネルギー代謝調節に関与することが示唆されている。AMPKは構成サブユニットによって活性化条件が異なることが報告されているが、生理作用の違いは明らかでない。本研究の目的はAMPKのアイソフォームを区別した上での活性調節機構・生理作用を明らかにすることである。具体的にはラット骨格筋にプラスミド局所注射法によってAMPK触媒サブユニット(αサブユニット)あるいはその変異体を導入し、後天的に骨格筋AMPK活性を亢進あるいは抑制し、筋収縮時のエネルギー代謝調節をどのように変化させるかを検討する。AMPKα2活性を選択的に増強させた筋、AMPKα1活性を選択的に増強させた筋、AMPK活性を抑制した筋の作成をFujii Nらの方法(Am J Physiol Cell Physiol.2004 Jul;287(1):C200-8)に準じ、前脛骨筋にプラスミドを局所注入した後電気穿孔法を行い、目的のαサブユニットの安定した発現が得られるよう検討した。また、薬理的手段を用いてαサブユニットをアイソフォーム別に活性化させる条件を検討し、これを用いてAMPKα2は細胞内のエネルギー状態の低下に伴って活性化を受けること、AMPKα1はエネルギー状態のみならず、細胞内に惹起される酸化ストレスに応答して活性化を受けること、酸化ストレスによるAMPKα1の活性化の生理作用としてインスリン非依存性糖輸送促進に関与している可能性を明らかにした。
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