研究概要 |
近年,複雑な生化学分析を微小なチップ上で行うμTAS(Micro-Total-Analysis-Systems)に関する研究が盛んに行われている.通常サイズの機械の場合に,好適原理・好適機構が存在するように,マイクロマシンの世界でも好適原理・好適機構があるはずであり,本研究では,μTASの共通要素であるマイクロミキサーとマイクロポンプの好適原理・好適機構を求めるため,実験及び数値解析を利用して研究を進めている. 本年度では,マイクロチャネル内部における2液混合法として拡大縮小流路から構成されるマイクロミキサーの開発を行った.また,溶質濃度により透過光強度が変化することを利用して濃度計測を行う光学的計測法を開発し,混合状態を定量的に評価した.さらに,チャネル内部の流れおよび溶質の拡散現象を解析する数値解析ソルバーの開発を行い,実験結果との比較を行った.その結果,実験結果および数値解析結果は定量的に一致しており,開発した数値解析法によるデバイスの設計が有効であることが明らかとなった.現在,開発した数値解析法によりデバイス形状の最適化を行っている. また,2種類の不混和液体を利用して,マイクロチャネル内部において微小液塊を生成する技術の開発を行った.さらに,液塊生成現象を観察するための光学的計測装置を開発し詳細な計測を行った.その結果,マクロスケールでよく用いられる界面不安定性理論は適用できず,生成現象の周波数が安定領域に存在することを明示することに成功した.さらに,静的な力学的釣り合いモデルを構築し実験結果との比較を行った.その結果,理論解析結果は実験結果とよく一致しており,液塊生成現象を構築した理論モデルにより考察できることが明らかにした.現在は,構築した理論モデルを基準にしてデバイス形状の最適化を行っている.
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