上皮細胞と間葉細胞の間で発現に差の見られる遺伝子について網羅的に、その遺伝子産物が上皮細胞のなかでどのような局在を示すかを指標にスクリーニングを行った。具体的にはmicroarrayによって上皮細胞に特異的に発現する約1000個の遺伝子を絞りこみ、更にその遺伝子産物のドメイン構造を予測した。それらの遺伝子の中には既知のものも含まれているが、機能未知のものが数多く含まれていた。機能未知の遺伝子については、完全長cDNAをクローニングし、GFPとの融合タンパク質の形で上皮細胞に発現させてその局在についてスクリーニングを行った。スクリーニングの結果、上皮細胞特異的な構造(たとえば細胞接着装置の一つであるタイトジャンクションやapical recycle endosomeなど)に局在する遺伝子の他にも、上皮細胞特異的に発現しているミトコンドリアに局在する遺伝子や、核膜に局在する遺伝子などを同定することができた。現在は、3種類のタイトジャンクションに局在する新規の遺伝子についてまず解析を行っている。それらの細胞生物学的な記載、またノックアウトマウスの作製などを行っている。その中の一つの遺伝子産物はタイトジャンクションにおいて非常に重要な働きを行っていることがわかり、現在、重点的にその解析を進めている。また、平成16年度には、本研究の一部の成果を、日本国内に対しては、日本細胞生物学会においてポスター発表を行い、癌コロキウムにて、口頭発表をする機会を得た。また海外に対しては、European Life Scientist Organization(ELSO)においてポスター発表をする機会を得た。
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