本年度は、DNA複製に伴うクロマチンセンブリー反応の研究に関しては、複製されたDNAにコアヒストンH3/H4がアセンブリーされた状態であるクロマチン中間体に、H2A/H2Bを特異的に取り込ませる因子の存在を強く示唆する研究成果を、昨年度にまとめることを試みて以来、共同研究者の担当分に関して成果を待っている状況である。 また、昨年度より新たに着手した遺伝子発現時における選択的ポリA付加の研究に関して、以下の進展があった。遺伝子発現において、ポリA付加サイトを複数もつ遺伝子が多数知られているが、それらのサイトのうちどれが使用されるのかに関しては、ほとんど研究がなされていなかった。しかし、ポリA付加がなされるサイトによって、特に3'非翻訳領域に存在する様々な情報は変化することから、このような研究は非常に重要である。我々は、転写終結時にmRNA切断に関わる因子として知られるCF-1m複合体に着目した。そのサブユニットの抗体を作成、また主にRNA干渉とノーザンブロッティングを用いた研究をおこなった。その結果、CF-1m複合体が選択的ポリA付加に直接的に関与するデータが得られた。この成果は平成十七年十二月に福岡で開催された第二十八回分子生物学会において発表した。
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