研究概要 |
ガロア逆問題における構成的研究として、メタアーベル群に対する有理数体上のネーター問題の研究及び生成的多項式の構成に関する研究を行った。また、代数多様体上乗法的な二次形式の理論の構築に関する研究を行った。 前者の研究として、これまで得られていた可換群(特に巡回群)に対するネーター問題の肯定的解決という成果を、メタアーベル群というクラスの非可換群に対して拡張することを目標とした。初期段階においてコンピュータにおける数値実験を積極的に取り入れた事が理論的構成に多く寄与し、これまで同問題が解決をみていた6次以下の場合に加えて、より高次に対する拡張に成功した。その結果、次数n=7,9,10,11,12,14,15に対し、n次対称群中に於けるn次巡回群の正規化群及びその部分群に対する同問題を肯定的に解決した。さらにこの方法は不変体の超越基底を具体的に構成することによって肯定解を与えているため、具体的な生成的多項式を構成することが(理論的に)可能である。よって今後の応用も多く見込まれると考えられる。このうち非素数次に対する結果は既にProceedings of the Japan Academy,81巻1号(2005年),pp.1-6.において発表されている。 後者研究のため、今年度の内約6ヶ月間に渡って二次形式の分野において著名な研究者であるKnebusch教授(ドイツ・Regensburg大学)の研究室を拠点として研究活動を行った(研究指導の委託を伴う海外渡航)。Knebusch教授及びその研究グループ(ネットワーク)の研究者との意見交換及び情報交換を積極的に行い、研究推進の原動力とした。特に11月2日、9日、30日の3回に渡ってRegensburg大学Oberseminarに於いてこれまでの乗法的二次形式に関する研究成果を講演し、また講演後には多くの知見を得ている。
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