水質浄化用としての高機能土壌団粒の創製を試みた。各種土壌(黒ボク土、マサ土、赤土)に粉末木炭、おがくず、鉄粒を混合し、耐水性を強化するために固定化剤を添加し、攪拌機で混合結合させた。作成した各土壌団粒を100ccカラムに詰め、集落排水処理施設への流入汚水を水道水で3倍希釈したものを原水とし、14.4t/m^3/日の超高速負荷で浄化実験を行なった。4ヶ月の連続流入において目詰まりを起こさず、団粒の崩壊も見られなかった。有機物除去では平均80%のBOD除去率であった。リン除去においては、団粒作成方法や固定化剤によって浄化能の違いが見られた。窒素浄化に関しては、アンモニア態窒素溶出期、亜硝酸態窒素溶出期、硝酸態窒素溶出期がみられた。 また、窒素、リンの高速高度処理のために、有機物と鉄の組み合わせた資材の開発を行った。多段土壌層法との組み合わせで、優れた有機物、窒素、リンの高速高度処理が可能となった。 多段土壌層法による水質浄化試験において、装置重量変化から、目詰まりや水質浄化特性を見出した。汚水流入開始から30日間ほどは装置重量が上昇し、流入したSSや有機成分、微生物の増殖によって透水性が低下したと考えられた。その後、100日目程までは重量が安定し、原水による有機物の流入と微生物による分解が平衡状態になっていると考えられた。また、目詰まりによって有機物、リン除去については処理能力が低下し、窒素については脱窒が進みやすい嫌気的な状態になったためか処理能力が向上した。 また、多段構造の違いによる水質浄化能力の比較実験も行い、T-RFLP法を用いて混合土壌層ならびに通水層資材の土壌細菌群集構造の解析を現在進めている。
|