黒ボク土、マサ土、森林褐色土の水質浄化能と、それらへの木炭、鉄、有機物の添加による水質浄化機能の強化を、水質・土壌分析によって評価した。また、水質浄化前後での微生物群集構造の変化をPCR-DGGE法を用いて調査した。各資材を4000ccカラムに詰め集落排水処理施設への流入汚水を水道水で5倍希釈したものを原水とし、127L/m^2/日の負荷量で浄化実験を行なった。有機物分解能では、黒ボク土とマサ土で高く、平均除去率が90%以上であった。窒素除去においては、黒ボク土>マサ土>森林褐色土の順で硝化反応が進みやすかった。また、有機物の添加によって脱窒が促進された。リンについてはどのカラムからもほとんど流出せず、高い処理能力を示した。PCR-DGGEの結果では、水質浄化前後も変わらず、すべての資材から検出されたバンドが大部分であったが、浄化後の黒ボク土のみから検出されたバンドもあった。また、マサ土では土壌のみよりも、資材を添加した土壌でバンド数の増加がみられた。 多段土壌層法による水質浄化において装置内部の水移動及び段数と処理能力の関係を調査した。幅50cm、奥行き10cmのアクリル水槽に、土壌層、通水層ともに5cmの高さで、土壌層が1〜6段の装置を6基作成した。上記汚水を3倍希釈し、1000L/m^2/日の負荷量で浄化実験を行なった。最下層の通水層に仕切りを付け、土壌層からの流出水と、土壌層間の通水層からの流出水を分けて採取した。BODは土壌層下からの流出水の濃度が低く、また3段以上の装置では除去率が90%以上であった。リンについても土壌層下からの流出水の濃度が低くかった。このことから有機物及びリン除去では、土壌層での透水性が重要であった。窒素除去では、初期にはアンモニア吸着により除去され、時間とともに硝化、脱窒反応が進行した。土壌層下で硝酸が低く脱窒が進みやすかったと考えられた。
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