本研究の目的は、牧畜民の大量流入とイエズス会のローマ・カトリック布教によって、16、17世紀にエチオピア北部(現在のエチオピアとエリトリアにまたがる高原地帯)において生起した諸変化の解明である。本年度に実施したイエズス会エチオピア北部布教関係文書の蒐集と分析、及び研究成果の公表は下記のとおりである。 1.イエズス会のエチオピア北部布教はポルトガル王の保護下に行われたため、ポルトガル領インディアの首府であった現在のインド共和国ゴア市には、イエズス会エチオピア北部布教関係文書が多数所蔵されている。平成18年2月24日から3月9日まで、ゴア市の旧ポルトガル領インディア文書館(Historical Archives of Goa)において申請課題に関わる文書の調査を行った。この調査で得られた成果については、日本ナイル・エチオピア学会学会誌において発表する予定である。 2.本研究の成果の一部を"Ethiopian People and Jesuit Mission : Image of the Jesuits in Early Seventeenth Century Northern Ethiopia"と題してSophia University International Colloquium 2005(2005年12月17日)において発表した。本発表の内容は英文にて刊行される予定である。 3.昨年度に続き、ポルトガルのブラガ管区文書館が所蔵するイエズス会エチオピア北部布教関係文書集MS779所収文書の解読を進めた。分析結果の一部を日本アフリカ学会第43回学術大会(2006年5月27日、28日)において発表するための準備を進めている。
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