研究課題
近年、ロボットの活動分野は産業だけでなく、エンターテイメントやサービスなど専門知識を持たない一般の人を相手とした分野へと広がっている。一般社会において人と共存可能なロボットには、ユーザーが他者と対話するかのような、直感的に理解できる自然な対話が望ましい。つまり、従来の「人間がシステムに働きかけて作用するシステム」ではなく、「システムが人間を見て状況を判断し作用する人間中心型のネットワークシステム」が必要である。本研究では脳科学によるミラーニューロンに基づき認識機構を模擬することで、人間の動作を観察しその人の意図を認識する、ボトムアップオントロジーの獲得が可能となると考えた。このボトムアップオントロジーをニューラルネットワークを用いて構築することにより、人間と機器との間の共通基盤を構築し、構造の異なったエージェント間の概念共有に利用する手法を提案した。本年度(平成17年度)は、16年度に引き続きオントロジーの構築と成長について考察を行った。さらに、人の動作を認識する視覚センサに特化したアンコンシャス型ロボット、直感的かつインタラクティブなインタフェースを提供するバーチャル型ロボット、及び自律行動を行うビジブル型ロボットの3タイプのロボットをネットワークで結び、機種の異なったロボット間においてオントロジーの有効性を検証した。指差し動作と環境情報からオントロジーによって、ユーザーが着目している対象物を認識し、環境に合わせて自律的に役割を発現するソフトDNAの機構によって、バーチャル型ロボットであれば対象物を点滅させる、ビジブル型ロボットであれば人間と同様にアームを用いて対象物を指し示すまたは対象位置へ移動する、とロボットの機構にあった動作を示すことができた。さらに国際会議に参加し研究成果の発表を行い、他研究者との意見交換をおこなった。
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