計算機シミュレーションを用いて、Mg^<2+>イオンの局所的濃度変化によるG蛋白質の制御機構を解明すべく、以下のことを行った。 (1)Mg配位型とMg解離型G蛋白質の分子動力学計算 (2)糖鎖自動構築プログラムの開発(ラフト構築のため) (3)生体膜モデル(ラフトモデル)の構築プログラムの開発とその分子動力学シミュレーション (4)蛋白質・生体膜・イオン複合体のモデル構築プログラムの開発 (5)G蛋白質の生体膜界面における分子動力学計算・構造予測 (1)の結果、Mgイオンによる低分子量Gタンパク質の制御機構を明らかにすることができた。この結果は、論文としてまとめ、現在、投稿準備中である。 (2)、(3)はVMDというソフトウェアのプラグインとしてプログラムを構築した。このプログラムを用いて、ラフトモデルを構築し、その分子動力学シミュレーションを行い、ラフトモデルの性質を再現することに成功した。そして、この結果を今夏のCBI学会2004年大会、および、今冬の生物物理学会年会にて発表した。さらに、今春の日本薬学会物理系部会フィジカルファーマフォーラム2005でも発表予定である。また、本プログラムを用いた応用研究として、アルツハイマーβ蛋白質のラフト膜上での凝集機構の解明も併せて行い、実験結果を裏付けるシミュレーション結果を得ることができた。 (2)、(3)のプログラムを利用して、(4)のタンパク質・生体膜・イオン複合体モデルの構築を行い、生体膜に低分子量Gタンパク質であるH-Rasを結合させ、(5)の分子動力学計算を行った。この結果は、今春の日本薬学会第125年会で発表予定である。
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