本年度は離乳期プロバイオティック投与の効果を検討するためマウスを用いた研究を行った。最も効果的に宿主免疫系を刺激する細菌を選抜するため市販プロバイオティクス2株およびラット、ブタ糞便由来乳酸菌各1株の合計4株をそれぞれ離乳期のマウスに経口投与し、その後の糞便中IgA量の変化をモニターした。その結果、市販乳酸菌のうち1株、Lactobacillus jonsonii NCC533株を投与した群に顕著なIgA分泌促進効果が確認された。 次にこのプロバイオティックの最も効果的な投与時期を検討するために離乳期(生後18-24日目)をそれぞれ3日間の3時期(18-20、20-22、22-24日目)に分け、それぞれの時期にL.jonsonii NCC533株の投与を行った。離乳初期(18-20日目)と離乳後期(22-24日目)においては本菌の投与による糞便IgAヘの影響は見られなかったが、離乳中期(20-22日目)における本菌の投与により糞便IgA量の有意な増加が投与後3日間確認された。このことから特定時期に本菌を投与することで迅速かつ効果的に宿主免疫系を刺激できることが示唆された。また、腸内細菌叢形成過程において最も重要な時期に糞便IgA量が顕著に変化したため腸内細菌叢の構成にも変化が見られると推察される。免疫系刺激、腸内細菌叢改善により種々の疾病の予防が期待される。効果的な投与時期をブタでも検討し、本手法を応用することでブタでも同様の効果が短期間かつ効果的に得られるのではないかと期待される結果となった。
|