カポジ肉腫ウイルスのLANA(latency-associated nuclear antigen)と結合する蛋白質の検索を行った。LANAを発現するHeLa細胞の抽出液に対してLANAに対する抗体を用いて免疫沈降を行ったところ、BET familyに属する蛋白質であるBrd4がLANAと共沈することがわかった。また、LANAとBrd4をそれぞれ発現するプラスミドを293T細胞にcotransfectionし、Brd4に付加したHAタグに対する抗体を用いて免疫沈降を行ったところ、LANAが共沈したことから、細胞内でLANAとBrd4は結合すると考えられた。 さらにLANAとBrd4がそれぞれどの部分で互いに結合するのかを調べるために、LANAおよびBrd4のN末端側、C末端側をそれぞれ発現するプラスミドを構築し、同様に293T細胞にcoransfectionし、免疫沈降を行ったところ、LANAはそのC末端側でBrd4と結合し、Brd4はそのN末端側でLANAと結合することがわかった。LANAとBrd4との結合に必要な最少の領域を同定するため、さらにアミノ酸残基を欠損したLANAおよびBrd4を発現するプラスミドを構築し現在検討している。 また、LANAとBrd4との結合が直接的であるのか否かをin vitroで調べるために、LANAとBrd4をSf9細胞で発現させ、精製を行うことにした。Sf9細胞内で2種類のタグを付加したBrd4が発現することが確認できたので、Brd4を安定に発現するSf9細胞株を構築した。今後はその細胞株を大量培養し、タグに対する抗体を用いて精製を行う予定である。
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