研究概要 |
植物の耐病性に関する研究は農作物生産性の向上のためにも非常に重要である。植物の抵抗性遺伝子を介した耐病性誘導シグナリングの初期段階において、植物種を超えて重要な働きをしていることが遺伝学的に明らかにされたRar1とSgt1の機能を、遺伝的に操作の容易なアラビドプシスを用いてproteomicsとgenomicsを融合させた手法を用いて、より詳細に分子レベルで明らかとする事が当研究の目的である。平成16年度においては、特別研究員としての受入機関の神戸大学からの研究指導の委託により、Rar1およびSgt1bを初めてクローニングしたJane Parker研究室(ドイツ、ケルンのMax-Planck-Institute for Plant Breeding Research)に滞在し、活発な議論、研究交流を通して非常に有益な研究活動を行った。その成果としては1、アラビドプシスの2コピーあるSgt1遺伝子Sgt1aとSgt1bは花や根などの器官では非常に異なった転写制御を受けているが、耐病性シグナリングにおけるSgt1bの機能の特異性はプロモータによる制御によるものではなく,タンパク質レベルでの違いに起因するらしいこと、Sgt1aも大量に発現させれば耐病性シグナリングにおけるsgt1b表現型を相補することを明らかとした、2、エピトープタグを融合させたRar1タンパク質を発現する形質転換rar1植物を作成し、この融合タンパク質が野生型Rar1同様に耐病性に起いて機能することを明らかとした。この形質転換植物を用いてRar1の新規な植物細胞内での結合タンパク質候補を用いて生化学的手法により幾つか見いだし、現在、マススペクトロメトリーを用いてそれらの同定を行なっている。現在、これらのデータを学術雑誌等に公表できるようにするためにさらなる実験を行なっているところである。
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