研究概要 |
英国フィールド・スタディーズ・カウンシル(FSC)について,事業展開と組織マネジメントに焦点をあて,歴史的展開過程を明らかにする研究に取り組んだ。まず,FSCの設立経緯,および,バトラーとタンズレイの人物像について,これまでに入手した資料をもとにして明らかにした。その結果,FSCは戦後,教育環境の悪化と教師の能力に依存した生物学教授を危惧したバトラーとタンズレイにより,それらの改善を目的として設立されたことが分かった。詳細は,2004年7月にオーストラリアで開催されたThe 35th Annual Conference of the Australian Science Education Research Association,2004年8月千葉大学で開催された日本科学教育学会第28回年会において口頭発表を行った。また,これらの学会で発表した内容をもとにしてまとめた論文が,日本科学教育学会の学術雑誌に掲載されると決定した。 次に,FSCの運営方針・組織構成・事業計画について,歴史的展開過程として検討を段階的に進めるために,FSCの歴史的展開過程を4つの年代(黎明期・創生期・整備期・拡充期)に区分し,本年度は黎明期(1943年-1955年)と創生期(1956年-1968年)に焦点をあてた。その結果,黎明期には学習の場としてフィールドセンターを開設,フィールドセンター周囲の自然環境を利用した野外学習提供を事業として展開する一方で財政状況の悪化があったこと,創生期には財政の改善を目指してフィールドセンターの量的・質的改良,集中予約システムの開発などを図る組織づくりを行っていったことが明らかになった。これらの詳細は,2004年11月に大阪教育大学で開催された平成16年度日本理科教育学会近畿支部大会,2005年2月にソウル国立大学で開催されたThe 45th Conference of the Korea Association for Research in Science Educationにおいて発表した。
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