本年度はまず、梅雨期の九州地方で局地的に発生する地形性降水帯について、X-BAIU-99及びX-BAIU-02データを用いて解析を行った結果、以下のような新たな知見が得られた。 1.降水帯の発生には山岳地形がトリガーとなっていることが示唆された。 2.降水帯内部及びその周辺の風速変動を調べた結果、降水帯に対して垂直な方向に風の鉛直シアが存在する時に降水帯が発生し、その強度が降水帯の発達に寄与している事がわかった。 これらの研究成果は、Annales Geophisicae誌にて発表した。 また、上記の研究を九州地方とは異なる地形分布や下層大気状態を持つと考えられる、近畿地方で発生する降水系に発展させた。気象庁ウインドプロファイラネットワーク(WINDAS)データや気象庁レーダーデータ等を用いて、停滞性の降水帯周辺での風速変動を詳細に解析した。解析は2004年8月1-2日に発生した四国豪雨について行った。その結果、次のような新たな知見が得られた。 1.降水帯は四国山地の尾根に沿う位置で長時間維持された為集中豪雨をもたらした。 2.降水帯は四国山地の地形がトリガーとなって発生した降水雲が環境風に流されることにより形成されていた。 3.降水帯の側面より吹き込む風が存在していた為降水がより強化されていた。 これらの研究成果は近々論文誌に投稿予定である。
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