研究概要 |
1.量子場理論では相対論に由来する時空概念と量子論に由来する確率概念との関係を理解することが重要となるため,その足がかりとして,(特殊)相対論で許される事象の因果的構造とその上で事象の確率空間を考えることとの両立可能性について考察し,具体的なモデルを作ることを通じてその分析を試みた. 2.量子場理論が如何なる存在論的身分をもつのかを探求する一つの手法として,巨視的な存在に関わるとみなされている古典物理学との間理論的関係に着目し,何らかの還元関係が成立するか,成立するならばそれはどのような関係であるか,或いは成立しないのであればそれはどのような含意をもたらすのか,ということを科学哲学上の最近の議論を踏まえて考察を行った. 3.量子論に由来するいわゆる量子論理と,古典論理と直観主義論理が埋込み可能であることが知られている線型論理との関係を,線形論理の相意味論の観点から分析し,量子論理的結合子の意味論の問題に対する新しい見解の可能性を考察した.
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