研究概要 |
本年度は申請時の内容に従い、岩石の地球化学的研究と、調査船による観測、野外調査などを行った。6月のJAMSTEC調査船「かいれい」による調査では、2003年度の同調査船によって予想されていた北西太平洋の深海平原上の海丘が、岩石試料採取によって火山であることが確認された。この発見は、地球科学における火山のこれまでの考えを覆すものであり、地球上の火山の成因についての今までの根本概念が改訂されると考えられる。この成果は、近々自然科学全般の国際的にレベルの高い学術雑誌に投稿する予定である。またその際には新聞など各種プレス発表も行う予定である。本研究の予察的な記事として、昨年2月24日に既に東京新聞・中日新聞の科学欄で紹介されている。 本大学内、島根大学、京都大学、東京大学、理化学研究所との協力で岩石の化学組成の分析を行った。その結果この火山は、太平洋プレート直下約100km深部のアセノスフェアからマグマが来ていることが判明し、プレート内火山の代表的存在であるホットスポット(例:ハワイ火山)が起源ではないという新しい火山の成因も判明した。 また、申請書に記述したように、房総半島、静岡県中部、ハワイ島などの野外調査も行った。こちらの調査データ及び岩石化学組成の分析は、現在進行中であるが、房総半島と静岡の第三紀火山、ハワイ島の火山活動後期の単成火山群について、既述のような新しいメカニズムの火山活動が予想される。 本研究の成果は、国内学会2回(5月に幕張で行われた地球惑星科学関連合同大会,9月に静岡で行われた火山学会)、海外の学会2回(8月にハワイで行われたWestern Pacific Geophysical Meeting,12月にサンフランシスコで行われたAGU Fall Meeting)、各研究機関からの講演依頼(9月:東京大学海洋研究所,1月:京都大学)で発表した。
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