同心円素子配列ラジアルラインスロットアンテナ(CA-RLSA)において給電回路も含んだ全素子配列構造を解析した。給電回路単体の振幅偏差は3.0dBと比べ開口面での振幅偏差は放射スロットにより測定結果で5.7dB程度と大きくなっている。ラジアル導波路上の全放射スロットも含めて計算し、5.8GHzで周方向分布の傾向がほぼ一致した。また本解析法を用いて、従来の直線配列モデルでは精密に設計できないパラメータである周方向スロットペア間隔S_φ、周方向スロット間隔p、円配列第1周目の半径ρ_bの値を変化させたときの開口効率を解析した。22GHz帯、5周配列の導波管給電RLSAにおいてこれらのパラメータを変化させた。開口効率は従来の設計法では81%となっていたがS_φ=0.6λ、p=0.26λ、ρ_b=1.0λの場合に87%まで向上した。 2層誘電体構造を用いたRLSAの解析法を提案した。RLSAのミリ波における高効率化には損失の小さい材料を用いる必要があり、またグレーティングによる極端な利得低下を抑える観点から導波路内の比誘電率は1.3〜1.4程度が望ましい。ミリ波帯で使用できる誘電体は限られており、損失の低い基板は入手困難である。等価的に比誘電率を制御するため比誘電率と厚さの異なる2種類の誘電体を重ねるRLSAが提案されている。本論文では固有関数展開法を用いた放射スロットペア付導波管の解析法を提案した。単体スロットの解析結果として、スロット直下の誘電率の変化が共振周波数に対して大きな影響を与えることが確認できた。本解析法を用いて比誘電率1.08と2.08の材料を用いて2層誘電体構造を用いたRLSAを設計した。等価誘電率が等しくてもスロット直下の誘電率の値が1.08と2.08のときで比較すると、開口効率60%を超える帯域がそれぞれ4%と3%と特性が異なることが確認できた。
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