内核の研究を行うためには、内核の超高温超高圧条件(300万気圧以上)を実験室で再現する技術を確立することが必要不可欠である。しかしながら、ダイヤモンドアンビルセルを用いた方法で200万気圧以上でレーザー加熱を行うことは非常に難しいと考えられており、これまでこの領域における研究成果はまったく発表されていなかった。そこで本研究を遂行するに当たり、まず実験技術の開発を行い、世界で始めて200万気圧以上の領域におけるレーザー加熱実験をルーチンワークとして行える装置と技術を確立し、最高250万気圧2000度下におけるX線回折データの測定に成功した。この250万気圧2000度という超高温高圧状態の静的な発生はいまだ誰も発表をしておらず、現在のところ世界の最先端の技術である。これは装置の開発と私の実験技術の鍛練により達成された記録であり、他の研究者が同じ装置を用いたとしても必ず同じ超高温高圧条件を発生できるわけではなく、私の所属するグループにおいても現在のところ他の研究者が同じ温度圧力条件を達成するには至っていない。 また、実験技術の開発と同時に200万気圧以上の超高温高圧条件下における地球の主要構成鉱物であるシリカの構造を決める実験を行った。この実験により得られた放射光その場X線回折データは200万気圧以上でシリカが構造相転移を起こしている可能性を示唆しているため、現在このデータの解析を行い発表できる形にすべく急いでいるところである。この成果が発表されればダイヤモンドアンビルとレーザー加熱装置を用いたシステムを用いた研究としてこの領域で始めて相転移を実験的に実証したことになるはずである。今後この技術をさらに磨き、地球の核の温度圧力条件を実際に実験室内に再現し、どのような現象が起こっているかを解明すべく研究を進める予定である。
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