酵母Two-hybrid法を用いたスクリーニングによって、10種類のTCPと2種類のVOZをフィトクロム相互作用因子候補として単離した。β-ガラクトシダーゼ活性測定の結果から、4種類のTCPと2種類のVOZに関して、さらに解析を行っている。 本年度は、まず、これら候補因子とフィトクロムの結合の光質依存性をin vitro binding assayによって調べた。候補因子はGST融合リコンビナントタンパク質を用い、フィトクロムは、発色団をもつN末端のリコンビナントタンパク質を用いた。その結果、上記6種類の候補因子はphyBとは結合せず、Pr型のphyAと強く結合することが明らかになった。さらに、VOZでは、VOZ1と強く結合し、TCPでは、TCP14、15と強く結合することが示唆された。今後は、HA Tagを付加した候補因子を植物で発現させ、免疫沈降法によって植物体内での相互作用を明らかにする予定である。 VOZとTCPの発現時期と組織特異性を調べたところ、フィトクロムの発現時期、組織特異性と一致した。さらに、細胞内局在を確認するために、YFP融合タンパク質をタバコ葉やシロイヌナズナの胚軸で一過的に発現させたところ、VOZ2、TCP15で核局在が観察された。これらのことから、VOZ、TCPが植物内でフィトクロムと相互作用する可能性が示唆された。細胞内局在を詳細に解析するために、GFP融合フィトクロムとYFP(CFP)融合候補因子を共発現させた植物体の作出を行っている。 候補因子が担う初期応答の生理的役割を明らかにするために、欠損変異体や過剰発現体の作出を行っている。VOZに関しては、各欠損変異体と二重変異体、VOZ1過剰発現体を得た。VOZ2過剰発現体、TCPの欠損、過剰変異体については作出中である。
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