研究概要 |
重要他者に対する再確認傾向(reassurance seeking ;以下,再確認傾向)とは,「自分は重要他者から愛されているのか,自分は価値がある存在なのか,自分はどれだけ優れているのかなど,自分の存在意義に関わる側面について,すでに確認をしたかどうかにかかわらず,重要他者に対して過度にしつこく確認を求める傾向(Joiner, Metalsky, Katz, & Beach, 1999)」である.再確認傾向を重要他者に対する動機づけと対人行動の傾向ととらえ,再確認傾向を測定する尺度を作成した(パーソナリティ研究第13巻第1号に掲載).この尺度を用いて,再確認傾向が高い人の対人行動の特徴,ネガティブ感情の問題について調査した. その結果,再確認傾向が抑うつだけでなく不安の増加も予測すること(The 6th Annual Meeting of the Society for Personality and Social Psychologyでポスター発表),携帯メール使用場面をとりあげて重要他者とのコミュニケーションを検討した研究(28th International Congress of Psychologyでポスター発表)では再確認傾向が高いほど重要他者にメールで自己開示をおこなう一方で重要他者との相互作用への評価が低いことが示された. このように,再確認傾向が重要他者との相互作用やネガティブ感情に影響を及ぼすことは明らかになりつつあるが,再確認傾向自体の形成過程が明らかになっていない.先行研究で養育体験が影響する可能性が指摘されているが,実証研究がいまだ存在しない.そこで,親子のペアを対象に郵送調査をおこない,親の養育態度と子の再確認傾向の関連を検討した。その結果,子供への統制の仕方が一貫しない養育態度であるほど子の再確認傾向が高いことが示された(2005年の日本心理学会で報告予定).
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